コラム

カミングアウトについて話し合いました

先日は、受講者さん同士で話をする場をセッションの合間に設けました。許可をいただいているので、プライバシーを遵守した上で内容を皆さんにも共有させていただこうと思います。

参加者は、山下さん(仮名)、中川さん(仮名)のお二人。

お二人とも20代の男性です。短い時間でしたが私も含めて3人で懇談をしました。

お互いに初対面でしたので、私が少し仲介させていただき懇談していく中で、吃音カミングアウトの話になりました。

カミングアウトと言っても、単に吃音を受け入れることだけに焦点を当てているのではありません。

当たり前ですが、こちらに通われている方は単に吃音を受け入れようというスタンスではなく、吃音を改善を希望されている方です。そのため「改善に向けて吃音をカミングアウトすることについて」という意味です。

山下さんは、友達に話した時の反応として、友達から以下のような反応が返ってきたそうです。

・吃音自体を知らなかった

・「そんなに気にならない」と言われた

・「実は自分も吃音なんだ」と言われた

また、カミングアウトすることによって、以下のような変化があったそうです。

「ちょっとくらいどもってもいいか」と思えるようになった

ちょっとぐらいどもっても良いと思いながら改善に取り組むことで、心が軽くなります。もちろんそのように思える人も思えない人もいるため、一概に同じではありません。

吃音への価値観は多様で、今回のお二人のようにカミングアウトに挑戦した人もいますが、吃音当事者の中には絶対にカミングアウトはしたくないという人もいますので無理をする必要はないと思います。

何れにしても今日はお二人で価値観を共有できたので、とても有意義な場になりました。このような経験を共有できることがお互いの改善への励みもになるのではないかとも思います。

今後のさらなる改善も楽しみです。

  • この記事を書いた人

畦地 泰夫

東京吃音改善研究所代表。公認心理師。国際流暢性学会(IFA)会員。日本吃音流暢性障害学会会員。日本コミュニケーション障害学会会員。1人ひとりに合わせた吃音改善を掲げ東京吃音改善研究所を設立。吃音症、社交不安障害のカウンセリング実績は1万回以上。

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