吃音の治療

最新の世界の吃音治療について|2014年11月の講演

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最新の世界の吃音治療について|2014年11月の講演

 

 

2014年11月、埼玉にて吃音の研究で有名なエフド・ヤイリ氏が行った講演会に参加してきました。

 
ヤイリ氏はなんと今、心臓にステントが4つ入っているそうですが、「その心臓から感謝を申し上げます」という博士のユーモアたっぷりなお姿が印象的で、とても感銘を受けました。

 

 

 

「吃音の研究と臨床の進歩」として行われた今回の講演のポイントとしては、

 
・罹患率(一生のうちに吃音にかかるひとの割合)と有病率(現在吃音を持っている人の割合)

 

 

これらは共に、一般的に引用されているものよりもっと多いようであるということ。

※これまで多く引用されていたのは罹患率5%、有病率1%

 

 
・発症後7~12ヶ月で回復への変化がなければ、吃音のリスクは高くなる。
すなわち、発症後の7〜12ヶ月で変化がない場合は治療を開始した方が良いということ(但し、全ての人に必要というわけではない)

 

 

・遺伝について
遺伝子を同定できると、大元の原因が理解できるということなど。

 

 

 

・発話以外の運動機能
幼小児期は、発話に関わる運動だけではなく、全身の協調運動を行う能力に根本的に欠陥があることなど。

 

 
・脳に関する知見
側頭葉と前頭葉を接続する白質に問題が認められることなど。

 

 
・現在の主な治療の手法
※ここについては多くは語られませんでしたが、資料には吃音パタン変更や、流暢な発話などの現在日本や海外で行われているアプローチが書かれています。

 

 

 

・将来の方法
遺伝子治療、幹細胞、光遺伝学などのアプローチが語られました。

 

 

 

博士ご自身も吃音当事者で、以前は面接で言葉が全く出てこないほどの重度だったそうですが、今では講演ができるまでに回復されていました。

 
私は益々の吃音治療における発展に期待しながら、まずは今行っていること、吃音からの回復と回復の維持に全力を注いでいきたいと思います。

 
講演に参加させていただき、開催して下さった関係者の方々に深く御礼を申し上げます。

  • この記事を書いた人

畦地 泰夫

東京吃音改善研究所代表。公認心理師。国際流暢性学会(IFA)会員。日本吃音流暢性障害学会会員。日本コミュニケーション障害学会会員。1人ひとりに合わせた吃音改善を掲げ東京吃音改善研究所を設立。吃音症、社交不安障害のカウンセリング実績は1万回以上。

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