みんなの疑問

英語の時には、どもらないのはなぜか?

英語やフランス語、中国語などの「外国語を話す時にどもる人」がいる一方、「外国語を話す時はどもらない」という人もいます。両者の違いはどこにあるのでしょうか?この記事では、英語などの外国語における吃音をテーマに記事を進めていきます。

 

英語の時には、どもらないのはなぜか?

 

英語を話す時にどもる人、どもらない人がいます。英語でどもらない場合について、以下、考えられることを述べていきます。

新しい刺激としての英語

英語を話し始めた時には、新しい言葉としての刺激があるため、注意が他のところに向きやすくなります。ただ、慣れていくうちにこの効果が薄れていくことがあります。

日本で英語を話している時には、どもらなかった人が、英語圏に留学してしばらくすると、英語でもどもるようになることがあります。

 

学習されたパターン

英語を話し始めた時に、どもらない経験をすることにより「英語を話す時はどもらない」ことを自分が学習します。

学習されたことにより吃音のことを考えませんし、「話せる」という自覚が持続し、話しやすくなることがあります。

 

外国語で話すときの相手による影響

日本人は、欧米や他のアジア諸国に比べると、国民性として恥ずかしがり屋が多い傾向があります。

外国語を話す場合には、相手がオープンマインドで話すことも多く、「話しやすい相手」として、相手を認識していることもあるのかもしれません。

そして、自分をありのままに出せることにより、否定的な自己認識が弱まることもあります。

 

別人としての自分

外国語を話し始めた時に、外国語を話す自分は「今までの自分」ではなくなり、「外国語を話す新しい自分」となることがあります。もちろん、これは英語初学者の状態で多いです。

これは、自己認識の違いです。自己認識とは、「自分のことをどう捉えているか」という自分への認識の仕方です。
今までの自分と違う自分が、外国語を話す時には、どもりにくくなることがあります。その状態の最たるものが、モノマネです。

他人になりきることによって、一時的に吃音は出なくなります。もちろん、全ての人に当てはまるわけではありません。後述するように、外国語でどもる人の場合には、これらの理由は当てはまりません。

 

外国語でどもるとき

外国語でどもる時には、以下のようなことが考えられます。

プレッシャーを感じている

「外国語の発音をきちんと発し、流暢に話さなければいけない」と考えてプレッシャーを感じてしまったり、なんらかのストレスや不安を感じたりすることも、吃音が出ることに影響します。

外国語で吃らない人と、どもる人の違いは、はっきりとはわかりませんが、一度外国語で吃音が出てしまい、意識することによりさらにどもりが増えるという人も多いです。

自信がない

その言葉に慣れていないため、また、語学力がないために自信が持てず、相手に対して劣等感を感じている状態です。

この場合、自分が劣勢になり、引け目を感じながら話すため、ストレスも増え吃音も増えると考えられます。

言葉への意識

日本語でどもる時と同じく、吃音は言葉を意識するとどもりやすくなります。言葉を意識した際に「この言葉はうまく言えるだろうか」と判断してしまうことにより、吃音は出やすくなります。

 

まとめ

英語でどもるときと、どもらないときの違いで、はっきりとした理由はわかりません。上記のように、人によって違いがあり、様々なことが考えられます。

  • この記事を書いた人

畦地 泰夫

東京吃音改善研究所代表。公認心理師。国際流暢性学会(IFA)会員。日本吃音流暢性障害学会会員。日本コミュニケーション障害学会会員。1人ひとりに合わせた吃音改善を掲げ東京吃音改善研究所を設立。吃音症、社交不安障害のカウンセリング実績は1万回以上。

よく読まれている記事

1

吃音があることにより就活の面接で悩む人はたくさんいます。吃音がある人にとって、就活は人生の中で最も苦手な場面と言っても過言ではありません。 そのため吃音がある多くの人は「吃音があっても就職できるのか? ...

2

10代 男性 セッション開始前までは、吃音がひどく、対処法もわからず毎日頭の中に「吃り」という言葉が浮かんでいた。 セッションを通じて具体的にフィジカル面だけでなく「吃音」への心持ちが変わった。 学校 ...

3

吃音に悩む人は、仕事の電話で吃音のために会社名が言えないことの不安を抱えていたり、プレゼンなどの発表場面に何日も前から心配していることも少なくありません。 時には、ずっと吃音のことばかり考えてしまうこ ...

4

この度、集英社マーガレットの新連載・花松あやか先生の作品「蕾とメテオ」への取材協力させていただきました! 吃音についてお話しさせていただく素敵な機会をいただいたことに感謝しています。 拝読させていただ ...

5

30代 女性 最初ここに通う前は、上手く話せず、電話すらちゃんととれない自分にすごく苦しんでいました。もっと上手に話せたら・・・普通の人みたいに何も気にせず楽に話せたらどんなに良いだろう・・・そういう ...

6

受講後4年が経過された方に、フォローアップセッションを行いました 4年半前に東京吃音改善研究所の吃音改善セッションを受講されていた野呂さん(仮名)。 今回は、その後の経過についてLINEでのフォローア ...

7

吃音で大学生活が不安で、どうしたらいいのか悩んでいるあなたへ 吃音さえなければ 「なぜ、言葉が詰まるのだろう?吃音さえなければ、もっと楽しく過ごせるのに。」と考えている大学生は少なくありません。 10 ...

-みんなの疑問
-, , , , ,