吃音の不安を乗り越えていくために
「どもるかもしれない」という不安を予期不安と言いますが、
この不安に吃音を抱える多くの方々が悩まされていらっしゃるのではないでしょうか?
例えば、
・来週プレゼンテーションでどもるのが怖い
・今度の面接でどもったらどうしよう?
と、先に起こる出来事に対しても不安が付きまといます。
この不安に目を向け続けると、その不安は固定化され大きくなっていくこともよくあります。
周囲には「あまり考えないようにすればいいのでは?」と軽く考える人もいるかもしれませんが、そうはいかないのが現状です。
過去の失敗経験などによって考えてしまうんです。
電話への失敗などで吃音が出られていらっしゃる方にとっては、その出来事に対する認識を変えていくことも時には良いでしょう。
電話=不安という構図をいかに変えていけるかということが大事になってきます。
また、日常で吃音を抑えるための発声や手法を用いたとしても、次の日の朝起きたときにどもるかもしれない不安がなくなっているかどうかは別問題ということです。
昨日は話せたけど、これがいつまで続くのかと不安になってしまうのです。
私も過去にメンタルだけで一時的に吃音が良くなったことがありましたが、日が経つにつれ吃音は再発していったという経験があります。
この予期不安をなくしていくために不可欠なのは、成功体験の積み重ねであり、吃音の管理ができているかどうかにかかってきます。
どもってしまう状況で「言えた!」
苦手な言葉が「言えた!」
ということを繰り返す中に、
「ここのところ言えているからもしかしたら言えるかも?」という気持ちになったり、
「言えるかもしれないからまた頑張ってみよう」と前向きに捉えることができてきたらとても良いことです。
吃音が起こる状況を自分で把握できるようになり、最終的には「吃音が起きても怖くない」と思える段階になった時には、どもらない状態でいられますし不安に悩まされることもなくなっているでしょう。
そして自然に話すことを体得し吃音を忘れていくのです。
セッションを修了される方に対して、
「ここから3ヶ月を目標に固めてください」
「さらにその先半年間続けていくように固めていきましょう」
などと、改善の維持・継続を促しています。
成功体験と共に不安になる気持ちもしっかりと解決していかなければなりません。
きちんと吃音改善が維持出来るために、修了されてもずっとサポートさせていただきたいと願い、修了後のメールやお電話でのフォローを行いながら修了者様ともコンタクトを継続しています。
支えという安心感によって不安も軽減しますし、時には状況を把握し吃音以外の迷いを解消するだけで「越えられる壁」もあると私は考えています。
東京吃音改善研究所
畦地泰夫