吃音(きつおん)を知ってください。vol.2 難発について
今回は吃音を経験したことのない人に吃音とはどのような状態になっているのかを説明したいと思います。
まず、吃音の代表的な症状に「言葉が出てこない」という難発という症状があります。
難発が起きている時、外から見ると当事者の中で何が起きているかはわかりづらく、慌てているように見えることもあるでしょう。
ですので、ここで一度この状態を体感していただきたいと思います。
難発がどのような状態かということを知っていただくと、当事者の悩みも見えてくるのではないでしょうか?
<難発ブロックを体感するために>
1、まず両唇をぴったりくっつけて口を閉じます。
2、この状態で「ぶ」という音を発音しようとしてみてください。
この時に両唇は絶対に開けないでください。
いかがでしょうか?
言葉は発せられないですよね?
口の中で少し「ぶ」に似たような音があるだけではないでしょうか?
「ぶ」と言いたいのに言えませんよね?
続いてもう一つ行います。
1、口を「あ」の形に開けてみましょう。
2、3秒息を止めてください。
3、グっと息を止めたままで「あ」を発してみてください。
いかがでしょうか?
言葉は出てこないはずです。
実際にはこの「言葉が出てこない状態」が様々な五十音で起こります。
言葉が出る直前までの動きは通常でも、そこから先の発語ができないのです。
誰でも突然人前でこのような状態が起こったら、パニックするのではないでしょうか?
一度や二度ならまだしも、何度も起きます。
また、会社員の方でしたら大事な取引先との商談の時、学生さんでしたら国語の朗読の時など「言わなくてはいけない時」に毎回起きたりします。
もしこの状態がずっと続いたら、あなたはどうしますか?
身体の反動をつけて何とか言葉を出そうとするでしょうか?
言えるまで無理やり出そうとしてもがくでしょうか?
または、このような状態を他人に見られたくないと思い、会話を避けるでしょうか?
これと同じ状況が日々継続的に且つ不規則に起こり、吃音を持つ人々を悩ませているのです。
言葉を発するという日常的な行為がうまくできなくなってしまうと、そのことに対する劣等感も生まれます。
「なぜ私は話せないのだろう」と。
周囲の理解も得られなければ、そのことを見せないようにという気持ちも強まりますし、常に過敏に他者への意識をするようになるのです。
慌てているのでも何でもなくて、言葉が出てこないのです。
そもそも吃音は誰のせいでもありません。
特に当事者の中には、「自分が悪い」と自分を責めてしまったり、言葉が詰まってしまって「相手に申し訳ない」と思う方もいらっしゃいます。
吃音を持つ方々が少しでも楽に過ごせるように、今後益々吃音への理解が広まることを願っています。