コラム

氷山モデルについて

Iceberg

氷山モデルについて



吃音は言葉だけの問題ではないということをSheehanは吃音の氷山モデルで表しました。(Sheehan  1970)

上部の写真のように海の上に浮かんでいる氷山に吃音を例えたものです。

氷山は見えているところは一部であり、海面の下には大きな氷の塊が潜んでいます。
吃音の全体像は、海の上の氷山と海面下の氷を合わせた全体と捉えていくのが氷山モデルです。

氷山部分はいわゆる目に見えている吃音症状です。

そして、海面の下には何があるのかというと、不安や恥ずかしさ、絶望、恐怖、孤立感など吃音を持つ方々が抱える心理的な問題です。

自分に対して否定的な気持ちになったり、どもる自分が悪いなどどいう気持ちもここに含まれています。

言語症状だけに取り組むアプローチには限界があり、吃音問題の全体像を見ていくことによって解決の道は見えてくるでしょう。

また、ネガティブな感情は体の硬さや呼吸の乱れといった体の状態にも反映します。
不安や恐怖が強くなるほど体の状態がより吃音を出しやすくしているといっても良いでしょう。


ですから、これらの状態がいかに楽になっていけるかというのを考慮して改善を進めていく必要があります。
CALMS1(Healey  2004 )

もちろん発語テクニックも用いますが、言葉だけの格闘ではなく感情や認識などを含む吃音の全体像を解決していくことが重要ということです。

それらの解決もあってこそ改善が維持できるようになるからです。

  • この記事を書いた人

畦地 泰夫

東京吃音改善研究所代表。公認心理師。国際流暢性学会(IFA)会員。日本吃音流暢性障害学会会員。日本コミュニケーション障害学会会員。1人ひとりに合わせた吃音改善を掲げ東京吃音改善研究所を設立。吃音症、社交不安障害のカウンセリング実績は1万回以上。

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