もくじ
国際流暢性学会に参加して
先月、広島で行われた吃音・クラタリング世界合同会議に参加してきました。この会議では、吃音研究や当事者による発表など様々な催しが行われました。
私は今回、吃音の薬理学的治療に関する発表や、労働者への支援のフォーラムなどに参加してきましたが、どの発表も大変興味深いものであり、各国のセラピーの現状なども含め、学ばせていただきました。
アメリカ、東ヨーロッパの先生方とお話をさせていただく機会もあり、出会いに大変感謝しています。
吃音が生活に与える影響
今回、参加したことにより、改めて「吃音が生活に与える影響」について考えました。
フォーラムでも取り上げられていましたが、吃音が吃音当事者に与える影響は、年齢によって違いがあります。
例えば、子どもの頃や思春期には、吃音は「いじめの対象」になることがあります。もちろんこれは、今までも問題とされてきたことです。
また、社会人になると吃音があることで仕事に支障が出るという問題があります。吃音を理解してもらえる環境もあれば、そうでもない環境もあり、当事者はこの障壁に悩まされます。このように、年代によって、吃音当事者に与える影響は異なっています。
吃音に対する正しい認知が広まっていない
なかなか吃音の正しい認知が社会に広まるのが難しいところはありますが、せめて親が子供に「吃音をからかってはいけないこと」を教えることはできると考えています。
軽はずみな「からかい」や吃音を知らない人による「誤った解釈」により、多くの子ども、吃音当事者がとても悲しい経験をしています。
実は、吃音は「どもってはいけない」という考えをもつほど、ひどくなります。つまり、吃音のことでいじめられると、「どもってはいけない」という考えがさらに強くなり、その子の吃音は、この先、ずっと症状が重くなるかもしれないのです。
話すことへの苦悩
この「話すたびに、恐れと恥を感じなければいけない苦悩」は、経験したことのない人にはわからないかもしれません。
勇気のある吃音当事者は、自分から吃音であることを自己開示することもあるかもしれません。そのような場合でも、相手に否定的な捉え方をされないことを切に願います。
心ない吃音へのからかいは、文字通り「心の傷」となり、残ります。このことが、もう少し世間に広まるよう、私なりに今後も努力していく次第です。
東京吃音改善研究所
畦地泰夫