学校生活

一人で悩みを抱えがちな中高生の吃音事情とは

「どもることが恥ずかしくて学校に行くのが辛い」という中学生・高校生は、たくさんいます。
吃音で悩む中高生には、幼少期からどもりがある人もいれば、最近どもり出した人もいます。この記事では、中高生の吃音への考え方のヒントについてご紹介していきます。
この記事を読むことにより、吃音に対する不安な気持ちを少しでも減らしていただくよう願っています。

吃音とは

一般的に、吃音とは、幼少期からの発達性吃音のことをいいます。発症時期は、2歳から7歳ごろまでが多いですが、その後に発症する場合もあります。原因は、体質的なものが多いと考えられていますが、環境や心因的なものなど、他にも原因はあります。
吃音は100人に1人と言われていて、小さな学校を除き、学年に1人以上は吃音の人がいることになります。
自分以外に見たことがないという人もいるかもしれませんが、もしかしたら今までにも吃音の人に会ったことはあるかもしれません。あまり気にしない人症状を隠せる人もいます。

中高生の吃音の実情

中学生、高校生は、思春期であり多感な時期です。自分のこと、周囲のことに敏感です。また、学校での様々な行事や発表など、みんなの前で、「ちゃんと言わなければいけない場面」を多く経験します。
他人からどう評価されるのかを感じやすい年代なので、「どもってうまく話せない」など、「人と同じようにできない場面」には特に敏感になります。

誰かに相談してみましょう

まず、吃音で困ったら、誰かに相談することから始めましょう。学校で上手に配慮してもらえることもありますので親や先生に相談して取り組むことは大事です。
吃音の症状によっては、うまく話せることもできますが、うまく話せない状態で無理にちゃんと話すことはできません。できることと、できないことを分けていくことが大切です。
また、吃音を一人で抱えたままで悩んでいると、不安な気持ちが強くなります。そういう時は、友達に吃音のことをわかってもらうだけでも気持ちが安心します。とにかく多くの味方を作ることが必要です。
対応については、こちらの記事も御覧ください
中学生・高校生は、吃音の悩みにどうやって向き合っていけば良いのか?

考え方のヒント

吃音を抱えていて、気持ちを少しでも楽にしていくために、以下のような考え方を持つことが大事です。

・吃音は自分のせいで起こっているわけではない

吃音は自力でコントロールすることは誰にとっても難しいものです。(訓練などを受けた場合を除きます)また、吃音になろうと思ってなったわけではありません。
あなたがうまく話せないのが悪いのではありません。吃音になると楽に話せないのが当たり前なのです。吃音になっていることも、うまく話せないことも「自分のせいじゃない」ということをわかってください。

・病気や障がいではなく、個性の1つとして考える

吃音を病気や障がいと考えるのではなく、話し方の個性として考えていきましょう。吃音があるから劣っていると考えるのではなく、話し方のくせがあるけど、可能な範囲で上手に付き合っていくことです。

・どもらないことが大事なのではない。大事なのはコミュニケーションそのもの。

どもらないことだけが重要なのではなく、あなたが他人とコミュニケーションをとること自体が大事なのです。だから、どもってはいけないという考え方ではなく、コミュニケーションを取ること自体に意味があることを意識してください。

・親にもわかってもらうこと

親に言えずにいる人もいるかもしれませんが、できる限りサポートを受けるためにも、親には相談して理解してもらったほうが良いです。吃音の事実が書かれているサイトや本を見せることによって、吃音を理解してもらうことが大切です。

・吃音にとらわれず目的を持ち、目標の達成方法を考える

「私はどもるから・・・」といって、夢や目標をあきらめていませんか?まずは、吃音があるなしに関わらず、目標を持ち、それがどうやったら達成されるかを考えましょう。その上で、吃音に対してできる取り組みはたくさんあります。

負けないこと


吃音はそもそも、あなたのせいで起こしているわけではありません。誰のせいでもなく、吃音症という状態になっているだけなのです。
どもるからといって劣等感を抱えてしまうのは、心のどこかに「自分のせい」と思っていたり、「自分が劣っている」「他人と同じでなければいけない」との考えがあるからです。
今一度ここで、「吃音はじぶんのせいで起きているわけではない」という事実を確認しましょう。もし、あなたの周りにいる人が明日突然吃音症になったら、あなたと同じような気持ちになるのです。
嫌な思いをしたなら、恥ずかしさを抱えるだけではなく、時には自分を奮い立たせてみましょう。
「これは自分のせいじゃない」「吃音だからといって負けてたまるか」という気持ちを持って、自分の人生の中で、高みを目指して自分らしく生きていきましょう。
吃音のことで自分が嫌な気持ちになることがあっても、負けないことが大事です。世の中には吃音症があっても物事を成し遂げていった人はたくさんいます。
とはいえ、あなたは現在、辛い思いをしているかもしれません。でも実は、吃音を抱えて頑張っていることは、とても強いことなのです。吃音のない人と同じことをしようとして、ここまで頑張ってきたのですから、本当はとても強い力を持っているんです。

まとめ

吃音は100人に1人いるので、中高生の中にも吃音で悩む人はたくさんいます。親や先生、友達など味方をたくさん作って状況に応じて対応していきましょう。
吃音に対する考え方を変えることで、少しでも気持ちを楽に持って学校生活を送ってください。
こちらの記事も御覧ください
中学生・高校生は、吃音の悩みにどうやって向き合っていけば良いのか?

  • この記事を書いた人

畦地 泰夫

東京吃音改善研究所代表。公認心理師。国際流暢性学会(IFA)会員。日本吃音流暢性障害学会会員。日本コミュニケーション障害学会会員。1人ひとりに合わせた吃音改善を掲げ東京吃音改善研究所を設立。吃音症、社交不安障害のカウンセリング実績は1万回以上。

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