自分の彼氏や彼女が吃音であったり、配偶者が吃音である人は、「私は、どう接したらいいんだろう?」と迷うことがあります。この記事では、吃音のある人の気持ちや、接し方についてご紹介していきます。
もくじ
吃音がある人への接し方
まず、吃音とは、自分でコントロールできる類のものではありません。当然ですが、吃音がある人は、どもりたくないのにどもってしまうという苦悩を抱えています。
吃音のある当事者は、こんなことを感じています
・どもったらどうしよう
・変な人だと思われたらどうしよう
・ちゃんと言わなきゃいけない
・タイミングよく言わなきゃいけない
・言葉が出てこないことへの焦り
・どもって固まってしまうことへの恐怖
・吃音者だと思われたくない
・障害者だと思われたくない
などです。
こういうことは言われたくない
吃音がある人は、以下のようなことを言われると、プレッシャーやストレスを感じます。これらは、たとえ、夫や妻など親しい人からでも言われたくありません。
・「ゆっくり話せば大丈夫」
ゆっくり話しても吃音が出ることがあります。
・「落ち着いて。焦らないで。」
言いたい言葉が出てこないため、焦ったような状態になっているのです。焦っているからどもりやすくなる人もいますが、言葉が出てこないから焦るのです。当事者は、その状態をコントロールできなくて困っているのです。
・「治しにいけばいい」
セラピーも完全ではないため、当事者は「治るかどうかわからない」と思っています。また、吃音の経験のない他人から吃音を干渉されること自体が当事者を嫌な気持ちにさせます。
・「かんでるよ」
吃音は「言葉がかむ」とは違います。また、いちいち指摘されることで吃音を余計に気にしてしまい、どもりが増えるのです。
吃音がある人は、自分では何ともできない吃音を抱え、とてもデリケートです。余計な指摘やアドバイスに心が傷つくことがあります。
相手を尊重する発言をしていただくこと(または、発言しないこと)で尊厳が守られます。
こういうことはされたくない
・特別扱いされたくない
過剰に特別扱いされるのも嫌な気持ちになります。話すことが少し困難なだけで、その他は普通に見られたいと望む人が多いのです。
・誤解されたくない
当事者は、どもらないように、たくさんの努力しています。例えば、言葉を言い換えたり、特定な言葉が言えないため、「わからないふり」をせざるを得なかったりします。
本人としては、どもらないようにしようとして行う、その行為が、周囲に誤解を与えることがあるのです。
・言葉を先取りされたくない
言おうとしている言葉を、聞き手が先取りすることは、時に助けにもなりますが、その逆にもなります。あまり先取っていると、先取られないようにとの思いから焦りが生まれるからです。
また、言いたい言葉を他人に言われると、がっかりする人もいます。しばらく待ってどうしても本人が苦しそうなら、助けてあげることも良いでしょう。
・急かされたくない
吃音がある人にとって「早く言って」という言葉を言われると、とても辛いです。例えば、風邪で高熱がある人に、早く動いてと言っているようなものです。本人も言葉が出なくて困っているのですから、急かすことは厳禁です。
このように対応されると嬉しい
・話し終わるまで待ってくれる
言おうとしている言葉を先取りされたり、急かされたりすることは、よけいに言葉が出づらくなります。焦ることによって、吃音当事者の発話はさらにパニック状態に追い込まれるからです。
当事者が自分のペースで話そうとしている時には、そっと見守っていただき、ペースを乱さないようにしていただけると安心して話せます。
・ちゃんと聞いていくれること
せっかく言葉が出そうな時に、話の途中で横を向いたり、他の人と話し始めると、嫌な気持ちになります。
これは、吃音のない人でも同じですが、吃音がある人の場合には、話そうとしている間に吃音による困難さを感じています。自分が辛い思いをしている時に、自分の存在を相手に軽く扱われるのは、誰でも嫌なものです。
・少しでも理解されること
他の悩みも同じですが、吃音は当事者になってみないと、その辛さはわかりません。わかってもらえなくても、少しでも寄り添うように理解されると、当事者は心が軽くなります。
吃音のある人は、うまく話せないときでも、「話したい」という話す意欲を持っています。その意欲を削がないように、普通に接して頂いたり、優しく見守っていただいたりすることが、吃音のある人の日々の過ごしやすさにつながります。
まとめ
吃音のある人は、非常に繊細で複雑な気持ちを抱えています。吃音のある人の多くは、他人から少しでも吃音を理解されることや、理解してくれようとしてる態度に触れることで、気持ちが楽になります。