電話をするときに、言葉が詰まってしまうと、電話することを恐れたり、不安に感じたりします。また、話すときにはどもらないのに、電話をする時だけどもる人もいます。
この記事では、電話でどもる恐怖を解消していくためのヒントを書いていきますので、ご参考になさってください。
もくじ
どんなときに困るか?
「電話でどもる」といっても、様々なケースがあります。どんな場面があるか、どんなときに困るかの例を挙げてみましょう。
・プライベートは大丈夫だけど、職場で電話を受けるときに、会社名が言えない
・自分からかけた電話で、自分の名前が言えない
・家でも会社でも電話の会話全般がどもる
・職場で周囲に他人がいる時だけどもる
・特定の相手に対してどもる
・美容室などの予約ができない
上記のように、電話でどもるといっても、様々な状況があります。
結び付けられた反応
電話でどもるときには、「電話ではどもる」という自分の認識と、固定化された反応が起きていることがあります。
電話=吃音、電話=不安のように捉えてしまい、思考・感情・行動がパターン化してしまっているということです。この状況を打開するには、ケースに応じて、改善手法を選択するべきです。
訓練を行う際には、成功体験を積み重ねることにより、固定化されたパターンは変わっていきます。そのためには、楽な相手から難しい相手へと段階的に電話に慣れていくことも大切です。
克服するための方法論・対策について
電話の乗り越えをどんなやり方で行えばよいかというと、言語療法的なアプローチ、心理療法的なアプローチなど、方法は様々あります。いずれにしても、個人のケースに応じて用いていく必要があります。
テクニックを身につけることで楽に言えるようになる人もいますし、不安が軽減することで言えるようになるなど、心理的なアプローチで克服できる人もいます。
・どもらずに話せる発声を身につける事によって、だんだんと話せるようになり、電話も出れるようになる場合があります。
この場合には、テクニックを普段の会話の中でも使えるようになることが大事です。緊張する電話だけでテクニックを使おうとすることは、とても困難な場合があります。
・電話そのものにある恐怖を段階的にリラックスした状態で向き合えるようになるという訓練により良くなる場合があります。
専門的な訓練を行っているところで、きちんとした理論に則って取り組む必要があります。また、安易な取り組みは、人によっては症状を悪化させてしまうことがあります。
この方法を行えば、電話は乗り越えられるということはありません。取り組む内容などは、やはり個人に合わせて行うべきです。
電話恐怖の克服例
※写真はイメージです。
吃音による電話恐怖の一つの乗り越えの例として、元国際吃音協会理事長のマーク・アーウィン博士のエピソードをご紹介します。博士は、電話での吃音を乗り越えるために、以下のような取り組みを行いました。※すべて書くと長すぎるため、一部省略しています。
博士は、電話に結び付けられた反応を軽くするために、以下のように段階的に恐怖を手放す行動をとったそうです。
- まず、電話を見ながら自分のお気に入りに椅子でリラックスする
- 慣れてきたら、リラックスして電話の音を聞く
- 慣れてきたら、リラックスして電話を耳に当てる
- 慣れてきたら、リラックスして電話を持っている自分を鏡に映す
- 慣れてきたら、相手のいない電話で話している自分を見る
- 慣れてきたら、親しい友人と電話で話し、話している自分を見る
さらに、この流れを用いて、だんだんとストレスをかけた状態でも電話ができるように、電話と向き合っていくというのが博士の克服したプロセスです。
これは、一つのアプローチであり、すべての人にこの方法が当てはまるわけではありません。他にも電話克服のためのアプローチはあります。繰り返しますが、個人に合わせた方法で行うことが大切です。
古典的な克服法などでは、電話をたくさんかける練習というものもありました。練習をすることが大事だと考えるあまりに、やみくもに電話をかけ、慣れていくという方法です。効果がある人もいるかもしれませんが、きちんとした対策が立てられないまま電話を繰り返すことにより、悪化することさえあります。
まとめ
電話で第一声が出ない問題は、電話=恐怖、電話=吃音という結びつき反応が強く働いている場合があります。この結びつき反応が緩くなっていくように、個人に合わせて対策を講じていくことが大切です。