英国王のスピーチは、アカデミー賞を受賞した作品であり、吃音をテーマにした素晴らしい映画です。この記事では、映画「英国王のスピーチ」と、その他の吃音に関する映画のご紹介をしていきます。
もくじ
英国王のスピーチ
2010年に公開された映画「英国王のスピーチ」は、イギリスとオーストラリアの合作で、アカデミー賞に輝いた名作です。作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞を受賞しています。
映画では、主役のジョージ6世役を俳優のコリン・ファース、スピーチセラピストのライオネル・ローグ役をジェフリー・ラッシュが務めています。脚本を手がけたデヴィッド・サンドラー自身にも吃音があります。
映画のテーマは吃音
映画のテーマは吃音症です。主人公であるイギリスの国王ジョージ6世は、実在した人物であり、吃音を持っていたことで有名です。作品の中では、ジョージ6世がスピーチセラピストのローグと共に、吃音克服に挑戦するエピソードなどが多数描かれています。
場面
冒頭の大衆を前にしてスピーチをする場面では、ジョージ6世が吃音のために緊張する姿がリアルに描かれています。何度も原稿を見返し、一人で孤独な恐怖を抱えスピーチの場に臨みます。
この「話す前の不安・恐怖」は、吃音を経験した人ならよく理解できることでしょう。話す前と話している最中の「息を呑むような緊迫感」が見事に描かれています。
ローグに出会う前の場面では、医師の誤った治療法により、タバコを吸わされたりビー玉を口に含まされたりして、吃音の治療を行う場面もあります。
過去には、実際に吃音治療のためにこのような方法が行われていたそうですが、このような治療は、全くのデタラメです。
その他、吃音に悩む当事者にとっては、自身の吃音と重なるシーンが多々あります。あまり書いてしまうとネタバレしますので、ぜひご自身でご覧になってください。
また、この作品は、吃音を知らない人に対して吃音の理解を促すためにもとても良い映画です。
その他の吃音に関する映画のご紹介
以下、吃音に関する映画をご紹介していきます。
スタッタラー 2015年 イギリス映画
短編作品。邦題は「僕はうまく話せない」
主な出演者:マシュー・ニーダム、クロエ・ピリー ほか
主な内容
ネットを通じた恋愛を通じ、吃音に悩む若者の姿が描かれています。作品を通じ、当事者の葛藤を見ることができます。海外でも日本人と同じように吃音で苦しむことがわかります。
青い鳥 2008年 日本映画
主な出演者:阿部寛、本郷奏多 ほか
原作は重松清です。重松清は、吃音があることで知られているベストセラー作家です。
主な内容
作品では、いじめ、学校、教育のあり方、ハンディキャップ、生徒の葛藤などが描かれ、吃音を抱える教師を阿部寛が熱演しています。阿部寛が演じる吃音を抱える教師の「心に響く本気の言葉」に感銘を受けることでしょう。
独立少年合唱団 1999年 日本映画
主な出演者:伊藤淳史、香川照之 ほか
主な内容
伊藤淳史演じる、吃音のある中学生が合唱と出会い、先生や同級生と共に、成長していく友情の物語です。吃音だけではなく、幾つかのテーマが混合している作品です。
アントキノイノチ 2011年 日本映画
主な出演者:岡田将生、榮倉奈々 ほか
作品の原作は、さだまさしの小説です。
主な内容
軽い吃音をもつ青年を中心とした物語です。高校を中退して遺品整理の仕事をすることになった青年。吃音だけではなく、様々な葛藤を感じさせてくれるこの映画は、とても切ない感情を沸き立たせてくれます。
志乃ちゃんは自分の名前が言えない 2018年7月公開予定
主な出演者:南 沙良 蒔田 彩珠 ほか
この作品は、もともと吃音を持つ女子高生を描いた漫画作品です。作者の押見修造さんは、吃音当事者であり、吃音の場面がリアルに描かれています。
主な内容
吃音を持つ女子高生が、学校で吃音の悩みに直面する場面や、友達・音楽の存在を通じて成長していく様子が描かれています。
他の記事でも触れましたが、吃音の場面が胸に迫るこの作品は、吃音を持たない人からも大きな評価を得ています。
アキハバラ@DEEP 2006年 日本映画
主な出演者:成宮寛貴、山田優 ほか
石田衣良の小説作品を元に作られた映画です。他にも漫画化、ドラマ化されています。
主な内容
若者たちが会社を立ち上げる青春モノの作品です。どもりながら話すwebプログラマーのページを成宮寛貴が演じています。彼が仲間と共に奮闘する姿を描いた面白い作品です。
ポエトリーエンジェル 2016年 日本映画
主な出演者:岡山天音、武田玲奈 ほか
主な内容
自作の詩を朗読し、相手の心を揺さぶることを競う「詩のボクシング」という、珍しいテーマの作品です。武田玲奈演じる女子高生の丸山杏は吃音を持っています。
ヒロインの武田玲奈さんがとても素敵で、後半のシーンが特に見ものです。
番外編
風に立つライオン
主な出演者:大沢たかお、石原さとみ ほか
さだまさしの名曲「風に立つライオン」は、実在する医師・柴田紘一郎をモデルに作られましした。
主な内容
アフリカで医療に従事する日本人医師の姿が描かれています。作品中では、大沢たかお演じる島田航一郎が学生時代まで吃音があったという設定になっています。
実は、この映画の吃音シーンにおいては、この記事を書いている私が取材協力をさせていただきました。主演の大沢たかおさんの生き様がとてもカッコいいです。
まとめ
英国王のスピーチは、アカデミー賞を受賞した素晴らしい作品です。吃音を知ってもらうためにもお勧めしたい映画です。
他にも吃音をテーマにした映画は、たくさんあります。素晴らしい映画を通して、吃音への正しい理解が広まることを望みます。