話すときに言葉がつまる「吃音」には、いくつかのタイプがあります。その中で、脳の損傷などにより起こるものを、「神経原生吃音」といいます。この記事では、神経原生吃音について詳しく説明していきます。
もくじ
獲得性神経原性吃音
※写真は、脳のイメージ画像です。
吃音は、発達性吃音と獲得性吃音に分かれます。発達性吃音とは、幼少期から10代前半にかけて発症し、脳の損傷などは見られません。獲得性吃音には、脳の損傷などにより起こる神経原性吃音と、ストレス要因などにより起こる心因性吃音があります。
神経原性吃音とは、脳の器質的な問題により起きている吃音です。失語症と合併して現れる場合が多いです。失語症とは、言いたい言葉が浮かんでこなかったり、思っていることと違う言葉を言ってしまうなどの症状があります。例えるなら言葉のわからない国に行ったような状態になることです。
どんなことがきっかけで神経原性吃音になるのか
獲得性神経原性吃音は、神経学的な疾患や脳損傷により発症します。主な病因には、脳卒中、脳腫瘍、パーキンソン病、頭部の外傷、認知症、線条体損傷、視床病変、薬物中毒、てんかんなどがあります。
ちなみに、脳卒中に伴い発症する吃音(発症割合は、5.2%)は、半年後には半数が回復するというデータがあります。
特徴
神経原生吃音は、発達性吃音と違い、以下のような特徴が見られます。
・音、音節の繰り返しが多く、ブロック(難発)はほとんど起こらない
発達性吃音の人の多くは、ブロックの症状で悩んでいます。神経原生吃音では、ブロックは、ほとんど起こりません。
・音の繰り返しが語中、語尾にも起こる
言葉の出だしだけではなく、単語の途中でどもることもあります。
・心理的な不安がない
話す際の不安はありませんが、いらだちが見られることがあります。
・言葉によって吃音の起こりやすさが変わらない
発達性吃音は、名前が言えないなど症状の有無が言葉によることがあります。神経原性吃音は、言葉によって吃音の起こりやすさが変わりません。
・随伴症状がほとんどない
言葉が出ない時に、言葉を言おうとして体の反動などを使うことを随伴症状といいます。随伴症状がほとんど見られないことは、神経原生吃音の特徴の一つです。
・適応性効果がない
発達性吃音の場合は、同じ文章を二回読むと二回目には吃音の頻度が減ります。神経原性吃音には、二回目に適応効果が非常に少ないか、ほとんど見られません。
これらは主な特徴ですが、人によっては、特徴が異なる場合もあります。
治療について
神経原生吃音は、言語療法を用いたリハビリを行いますが、やり方は発達性吃音と全く同じではありません。ゆっくりした発話速度や軟起声(そっとやさしく声を出す方法)や、メトロノームのリズムに合わせて区切る発語練習などがあります。
まとめ
獲得性神経原性吃音は、脳疾患や脳損傷により起こります。症状の特徴は、言葉によってどもりやすさの違いがなかったり、心理的な不安がなかったりと、発達性吃音と比べて特徴に違いがあります。