吃音の治し方・対処法

どもりそうな苦手言葉への対策はどうすれば良いか?

吃音には特定言葉への苦手意識があります。
例えば「ありがとうございます」が言えなかったり、自分の名前が言えなかったり、人によって苦手な言葉は違います。また、あ行、た行、や行、ら行など、言いづらい母音や子音があることも多いです。この記事では、これらの苦手な言葉があるときに、どうしていけば良いかというアイデアを書いていきます。

なぜ苦手な言葉が言えないのか?


苦手な言葉が言えなくなる要因は様々考えられますが、進展段階(吃音が深まっていく段階)という側面から説明していきます。
吃音がある人の多くは、どもり始めた頃、まだ苦手言葉の意識はありません。その後、吃音が進展していくにつれ、どもる場面が増えていったり、苦手な場面や言葉を自覚するようになります。同じ言葉でどもることを繰り返し、苦手な言葉を覚えていくのです。
苦手な言葉は変わることがあり、以前は苦手だった言葉がいつの間にか言えるようになり、新たに他の苦手言葉が出はじめることもあります。
また、回復するときには、苦手言葉が言えたという成功体験によって、その後も言えるようになっていく場合もあれば、言いやすい状況などの他の条件(自分が優位な立場で話す状況、話しやすい相手と話す状況など)が重なり、言えるようになる場合もあります。

特定な言葉が言えないと、こんな時に困る

慣れた人との気楽な日常では困ることは少なくとも、以下のような状況では困ることがあります。

・挨拶をするとき
朝の挨拶や名刺交換など、決まった言葉が言えずに、相手から誤解をされてしまうことがあります。
・電話を受けるとき
電話で名前や社名などが言えないときに、相手はこちらが見えない状況です。人によっては冷たい反応をすることもあるかもしれません。本当につらいものです。
・苦手な言葉が含まれる商品の注文をするとき
お店などで、頼みたい商品が自分の言いづらい言葉だとすると、その商品を頼まずに言いやすい商品を頼まざるを得ない状況になることがあります。
私も過去に、ファストフードなどで、自分の食べたいものと違うものを注文してしまって後悔するということがよくありました。

どうすれば良いのか?

では、対処としてどうやって切り抜けていけばよいのでしょうか?すべての人に当てはまるわけではありませんが、以下をご参照ください。

・上手に言おうとしないこと

話す時に、他人のタイミングに合わせることで言いづらくなることがあります。自分の良いタイミングで話すように心がけましょう。

・自分の言い方で話す事

かしこまった言い方自体を改め、できるだけ自分のイントネーションや自分の言葉で話す方が良いです。心理的圧力が軽減されます。

・一気に言おうとしないこと

一気に言うことにより言いやすくなることもありますが、発話に強く力をかけてしまうことは逆効果です。だんだんとブロック(難発の症状)が強くなることがあります。一文字づつ丁寧に話すようにし、力みを最小限に抑えましょう。

・カミングアウトすること

吃音をカミングアウトできるのであれば、した方が自分の気持ちが楽になります。自分を追いつめてはいけません。隠そうとすればするほど、誤解されることもありますし、言葉への苦手意識も増えていきます。

・治療を受けて克服する

じっくり吃音と向き合い、専門家の援助を受けて吃音の改善に取り組むことも良いです。費用も時間もかかるため、考慮した上で自分に合う専門機関を見つけましょう。
苦手言葉に対して、テクニックを用いて言えることもありますし、根本的に吃音を考えずに話せるようになることもあります。

しないほうが良いこと


言葉の言い換えや、余計な言葉を挟んで工夫をすることがよくありますが、これらは、できるだけしないほうが良いです。工夫をするよりは、自分のタイミングを大事にし、たとえどもってしまっても、言いたい言葉をそのまま言う方が良いのです。
苦手な言葉があると、話す意欲が弱くなってしまうこともあるかもしれません。ですが、できるだけ話すことを避けることはしないほうが良いです。話すことを避けることで吃音の悩みはさらに深まっていくのです。
どもってもいいから、言いたいことを言うことが発話の意欲を高め、結果的に吃音を軽くしていくのです。吃音研究者のバンライパーは、吃音問題を小さくしていくために発話意欲が大切であることを述べています。
また、アメリカで吃音財団設立をしたことで知られるマルコムフレーザー博士は、著書「ことばの自己療法」の中で、吃音の克服のためのポイントの一つとして、「自分の持っている流暢な話し方にもっと目を向けるように」と述べています。
苦手言葉に恐れるだけではなく、多くの言葉を話せている自分に目を向けていくことも大事です。

まとめ

吃音が進展していくと、苦手言葉を意識します。苦手言葉は時により変わることもあります。言い換えや隠す工夫はできるだけ少なくし多少どもっても言いたい言葉を話す方が良いです。楽に話せている自分もいることに対して、もっと自覚していきましょう。

  • この記事を書いた人

畦地 泰夫

東京吃音改善研究所代表。公認心理師。国際流暢性学会(IFA)会員。日本吃音流暢性障害学会会員。日本コミュニケーション障害学会会員。1人ひとりに合わせた吃音改善を掲げ東京吃音改善研究所を設立。吃音のカウンセリング実績は1万回以上。

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