吃音(きつおん:どもってしまうこと)といっても、人によって症状や種類が異なります。
改善に取り組む場合、症状によっては、間違った対応を行うことで症状が悪化してしまうことがあります。まずは吃音について正しく理解して、正しい方法で改善に取り組んでいくのが望ましいです。
そこでこのページでは、吃音の主な症状と種類についてわかりやすく説明していきます。
もくじ
吃音の症状について
吃音の症状には、連発(れんぱつ)や伸発(しんぱつ)、難発(なんぱつ)の3つがあります。
以下、それぞれ順を追って解説していきます。
連発の症状とは
「連発」とは、言葉の出だしが連続して出てしまう症状のことを指します。
例えば、「みかん」という言葉を発する際、「み、み、みかん」と連続して同じ語を発してしまうのが連発です。
ただ、連発は吃音が発症し始めたときによく見られるものの、本人は自覚がないこともあります。その後、次に説明する難発の症状へと移行していきますが、連発の症状が続く人もいます。
伸発の症状とは
「伸発」とは、言葉の出だしを引き伸ばす症状を指します。
例えば「みかん」と言う時に「みーかん」と引き伸ばしてしまうのです。
伸発の症状は比較的、吃音が出始めた頃に見られますが、ずっと続く場合もあります。
症状についてまとめると、吃音が出始めた時は連発・伸発で本人は気づかないことも多く、その後だんだんと難発になっていくということです。
難発の症状とは
「難発」とは、発したい言葉が出てこない症状を指します。
例えば「みかん」と言いたいのに最初の「み」が出てこないのです。つまり無声の状態になるということです。このことから、阻止、ブロックとも呼ばれています。
また、頭では言いたい言葉が浮かんでいても、言葉が言えなくなり、発したい言葉を無理に押し出そうとすると、以下のようになります。
「・・、・・・・・・みかん」のような発声になります。
吃音は連発や伸発から発症し難発へと進んでいくため、成人吃音の方の多くは難発で悩んでおられる方が多いです。
工夫について
一般的に、吃音がある人は、上記の3つの吃音の症状に対して、言葉をスムーズに出そうとしたり、吃音をごまかしたりして対処や工夫を行います。これらの「工夫」については、以下の記事でご紹介していますので、併せてお読みください。
記事:ついやってしまう、どもらないための工夫と随伴運動
吃音の種類について
吃音は、幼少期に発症する「発達性吃音」と、後に発症する「獲得性吃音」の二つの種類があります。以下、それぞれの種類を説明します。
1.発達性吃音とは・・・
発達性吃音は2~7歳頃に発症することが多く、ピークは5歳といわれています。70~80%は自然治癒していくのですが、症状が残ってしまうと成人吃音へと移行していきます。
一般的には大人になると吃音症は治らないと言われていますが、現在では成人吃音の改善事例も多く見られています。
ただし、吃音症状は言語症状だけではなく、心理・認識・行動を通じて様々な側面が関わっています。そのため、これらの吃音の全体像をしっかり見ていきながら、改善に取り組んでいく必要があります。
2.獲得性吃音とは・・・
これは発達性吃音とは違い、発症する時期が遅いのが特徴です。事故などによる脳の損傷、脳卒中や腫瘍などの病因により発症する「獲得性神経原性吃音(一般的には児童期以降に発症)」とストレスやトラウマ体験などにより起こる「獲得性心因性吃音(10代後半以降から成人にかけて発症)」があります。
獲得性神経原性吃音の場合、ほとんど心理面の問題は関わっていないため、病院などのリハビリで回復を目指していくことができます。一方、獲得性心因性吃音の場合、発達性吃音と同じく、吃音症状以外の側面である「心理・認識・行動」も関わってきます。そのため、これらも一緒に考えて、改善に取り組んでいくのが望ましいです。
獲得性神経原生吃音については、こちらも併せてお読み下さい。
記事:獲得性神経原生吃音の特徴について
まとめ
以上、吃音の症状の3つの特徴について述べてきました。
1.連続して語を発する「連発」
2.語を引き伸ばす「伸発」
3.声が出てこない「難発」
そして、これらにはそれぞれ、「発達性吃音」、「獲得性吃音」という2つがあるということをお伝えしました。
吃音を少しでも早く治すためにも、あなたの吃音症状に合わせて、改善に向けて取り組まれると良いでしょう。