話すときにどもるのは、対人恐怖症なのでしょうか?そもそも、対人恐怖症とは、どのような症状なのでしょうか?
この記事では、対人恐怖症と吃音の関係について、わかりやすく解説していきます。
もくじ
対人恐怖とは
対人恐怖とは、「自分が相手に不快感を与える欠点がある」と感じる、他人に対する恐怖です。対人恐怖症の症状は、人と接する場で生じるため、友人や同僚などの関係性、学校や職場において出やすいです。
家庭内で一人、または家族と一緒にいる時や、全く知らない人に会う時には、症状は出現しないか軽度であることが多いという特徴があります。
吃音と対人恐怖症は別のものですが、どもるという症状があるゆえに、恐怖を抱えている場合があります。吃音と対人恐怖症の関係について、まずは、以下、対人恐怖症の症状から説明していきます。
対人恐怖には、どんな症状があるのか
対人恐怖症になると、自分に欠点があるから、他人に対して不快感を与えてしまっていると思い込みます。対人恐怖症者が悩む「自己の欠点」には、以下のようなものがあります。
・自己視線恐怖
「自分の目つきが鋭い」ことが欠点だと感じ、それを他人に与えることに対する恐怖
・自己臭恐怖
自分の体臭がキツイのではないかという恐怖
・醜形恐怖
自分の顔または顔の部分が醜いという恐怖
上記の他にも、赤面恐怖や演説恐怖、発汗恐怖など様々な恐怖があります。
対人恐怖症と吃音の違い
対人恐怖症の中に「吃音恐怖」というのもあります。吃音が起きることによって、相手に不快感を与えるのではないかという恐怖です。
吃音恐怖の人は「どもることで相手に不快を与えること」に対する恐れがあります。
吃音症があるの人全体で、このことを考えてみると、確かにどもることを恐れる人はいますが、上記のような吃音恐怖を、それほど持たない人もいます。そのため、吃音症と対人恐怖症は、同じではありません。
対人恐怖研究の第一人者である帝京大学の内沼幸雄名誉教授は、著書「対人恐怖」の中で、こう述べています。
「吃音や書痙(書字の際に手の緊張とふるえで書字困難となる疾患)に類似した症状が、対人恐怖にもとづいて生じる例があることは、臨床的にみて疑う余地がない。
しかし、吃音や書痙のみを主訴とする患者をみてみると、対人緊張で説明しうるとはとうてい思えないのである。」
つまり、対人恐怖によって、吃音のような症状が起こることはある。しかし、吃音を主訴とする「対人恐怖で起こっているのではない吃音」があるということです。
吃音症の場合は、対人恐怖を伴わない場合がたくさんあります。吃音があるために緊張してしまうといった考え方がふさわしいのです。
社交不安と対人恐怖の違い
社交不安障害と対人恐怖症は、症状が重なる部分はありますが同じではありません。社交不安障害の特徴は、「自分の行動や発言への不安」が中心です。
対人恐怖症は、自分の存在や行動について「相手が嫌がっていないか」という不安が出てきます。「人を不快にさせてしまうのではないか?」との不安を持つのが対人恐怖症の特徴です。
まとめ
吃音症と対人恐怖症は同じではありません。対人恐怖が強く見られる場合は、心療内科や精神科を受診し、対人恐怖症そのものの治療を受けられるのが良いです。