社交不安・あがり症

あがり症だから言葉がつまるのか? 

人前で話すとあがってしまう「あがり症」の人は、人前で話す時に、言葉が詰まってしまうことがありあます。また、言葉が詰まるのが慢性的に続く症状は、吃音症かもしれません。
あがり症と言葉が詰まってしまうことは、どのように関係しているのでしょうか。
この記事では、あがり症と言葉が詰まることの関係吃音との違いについて説明しています。人前で話すのが苦手な人にとっての「乗り越えるためのヒント」もご紹介しています。

あがり症とは


人前に出ると緊張する「あがり症」は、これまでは性格の問題であり一時的なものであると思われていました。しかし、近年では、あがり症は、「社交不安障害」という病気であることが明らかになりました。
社交不安障害とは、不安障害の一種です。以前は社会不安障害と表記されていました。英語ではSocial Anxiety Disorderというので、略してSADともいわれています。
症状の中心となるものは、社会的状況などで「恥ずかしい思いをするかもしれない」という恐怖です。
大勢の前で話をするときなどは、誰しも緊張します。この緊張がいつまでも続き、慣れない人は社交不安障害の可能性があります。
社交不安障害は、11~15歳頃、、また、中年期に発症しやすく、日本では100万人以上いるといわれています。病院を受診する人は少なく、「自分は、こういう性格なんだ」と思っている人が多くいます。

社交不安障害の治療

社交不安障害は、認知行動療法と呼ばれる心理療法で治すことができます。また、薬で症状を和らげたりすることもあります。
認知行動療法では、不安な出来事に対する偏った考え方を「認知の歪み」と呼ぶことがあります。認知とはその人の考え方・捉え方を意味する言葉です。認知の歪みとは、自分にとって不安をもたらす偏った考え方を選択しやすくなっている状態です。不安をもたらす考え方を変えていくことにより不安を軽減していくことができます。
社交不安については、こちらの記事で詳しく解説していますので、お読みください。
記事:吃音のある人の多くが抱える社交不安とは?

吃音とは

吃音は、「あがる」ことだけが原因ではなく、言葉を流暢に発することができないことが慢性化しているものです。人前で発表する際には、どもることに対する「恐れ」がある人も多いです。
人前で緊張して言葉が詰まってしまう人の中には、これはあがっているのか、吃音なのかわからないこともあります。まずは、専門家に診てもらい、自分がどのような状態なのかを知ることから始めていくと良いです。
吃音についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、お読みください。
記事:吃音(どもり)の症状と種類をきちんと解説

評価される恐れ


人前で「あがる」理由の一つに、「評価される恐れ」があります。自分の言動を他人に評価され、「変な人と思われること」「恥をかくこと」を恐れるのです。
そのため、評価されるかもしれない状況において、不安と緊張が高まります。体の症状としては、汗をかいたり、震えたりします。話す場においては、しどろもどろになったり、言葉がつまったりします。

「あがり」を克服するための考え方


スタンフォード大学のケリー・マクゴニガル博士は、スピーチであがらないように、「他者を応援するマインドセット(心の持ち方・考え方)を養うこと」を勧めています。
他者を応援するマインドセットとは、他人が発表しているときに、発表者を一生懸命応援してあげることです。そして、自分が発表するときには、できるだけ自分を応援してくれているであろう観客を見つけてみてください。
つまり、聞いている人たちとの「つながり」を感じることで、「あがる」ことが軽減されるということです。
あがり症の人の多くは、自分が発表するときに「批判される」と考えがちです。でも本当は、聞いている人たちは、あなたを批判したいのではなく、発表者であるあなたとつながりたいのです。あなたの話に感化されたいのです。

まとめ

人前で話すときにあがるのは、社交不安障害の可能性があります。まずは、自分の状態をきちんと知っていきましょう。専門家の診断を受けて、適切に取り組んでいけば克服することができます。

  • この記事を書いた人

畦地 泰夫

東京吃音改善研究所代表。公認心理師。国際流暢性学会(IFA)会員。日本吃音流暢性障害学会会員。日本コミュニケーション障害学会会員。1人ひとりに合わせた吃音改善を掲げ東京吃音改善研究所を設立。吃音症、社交不安障害のカウンセリング実績は1万回以上。

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