「吃音って何て読むんだろう?」「吃音とどもりは違うの?」など、吃音についての定義は、意外と知られていないことがあります。
また、辞書を引いたりネットで検索したりしても、難しく書いてあったり意味がわかりづらいこともあります。
そこでこのページでは、「吃音について基礎的な知識を身に着けたい」と考えている方に向けて、吃音の定義について詳しくお伝えしていきます。初心者でも分かりやすいように、丁寧に解説させていただきます。
もくじ
吃音という言葉の意味
吃音(きつおん)とは、「どもり」と同じ意味の言葉(同義語)であり、言葉がどもる(つまったり出てこなかったりする)状態をいいます。
また、吃音の症状を持つ人のことを、「吃音者」「どもり」と表現することもあります。
この「どもる」という言葉の語源は、「ととまる(留)息」「のどごもり」などの略から来ているのではないか、と言われていますが、他にも幾つかの諸説があります。
吃音症の定義
吃音症は、病名などが分類されているICD-10(世界保健機構『WHO』が公表)に記載されています。
ICD-10では、吃音は「小児<児童>期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害」の中に分類されています。
音声、音節又は単語を頻回に繰り返したり延長させたりする特徴を持つ言葉。あるいはその代わりに言葉の律動的な流れを中断する頻回のためらい又は中断を特徴とする。
(ICD-10より引用)
また、アメリカ精神医学会が作成している「DSM(精神障害の診断と統計マニュアル)」には、幼少期に発症する発達性吃音について「小児期発症流暢症(吃音)」と記されています。
吃音には幼少期から発症する発達性吃音と、それ以降に発症する獲得性吃音があります。これらの説明については「吃音(どもり)の症状をきちんと解説」の記事をご参照ください。
吃音と文化
吃音は日本だけではなく、どの国にも、どの文化にも存在しています。英語では吃音をstuttering(スタタリング)、stammerring(スタマリング)、吃音者をstutterer(スタッタラー)と言います。吃音のある人のことをPWS(people who stutter)と言うこともあります。
吃音の歴史
吃音の歴史は古く、4000年以上前の中国文明を始め、エジプト文明、メソポタミア文明にも吃音が存在した証拠が残っています。
発症と有病率
幼少期の発達性吃音の発生率は約5%です。100人いれば、そのうちの5人に吃音が発症する可能性がある計算になります。
また、幼少期の吃音が自然に治癒する確率は20~80%といわれています。
有病率(幼少期から引き続き吃音症状が続く割合)は人口の1%前後です。
大まかに言うと、100人の子供のうち、5人に吃音が発症し、最後に1人だけ症状が治癒せず残るということです。
男女比は約3~5:1で男性の方が多いです。また、吃音は厚労省の公表する発達障害にも含まれています。
発症時期
発症時期については、多くは2歳から7歳とされており、80~90%の子供が6歳までに発症します。
中には、10代前半でも発症することもあります。また、これらの数値は研究者により、若干違いがあります。
発達性吃音に似ている心因性吃音(獲得性吃音のうちの一つ)は、発症が発達性吃音より遅く10代後半から成人にかけて発症し、ストレスなどが要因とされています。
吃音はくせなのか、あるいは病気なのか
吃音は上記に示したように「吃音症」と名前が付いており疾病、障害として分類されています。
ただし、症状によって世間一般では「話し方のくせ」「緊張している」と思われていることもあります。吃音の正しい認知度は低いというのが現状です。
まとめ
「吃音(きつおん)」は「どもり」と同義語で、言葉がつっかえる症状が続くのが特徴です。人口の約1%の人に症状があり、女性より男性の方が多いです。幼少期に発症する吃音は20~80%の確率で治癒していきます。
「私は吃音なのかどうかわからない」という方は「言葉がつっかえる、第一声が出てこないのは吃音症かもしれません」の記事で説明していますので参考になさってください。
人それぞれに吃音の症状は違うため日常生活にうまく適応していく人もいますが、症状に困っている人は改善に取り組んだり支援を受けることも大切です。