不安・緊張・恐怖

吃音による不安には、どんな対策があるのか?

「学校の音読の順番が回ってくるのが嫌だ」、「明日の仕事の会議でどもったらどうしよう」など、吃音を持つ人は日常生活に対する様々な不安を抱いています。
この記事では、「不安が吃音に及ぼす影響」と、「不安をどうしていけばよいか」について解説していきます。吃音に悩んでいる人は、ご参考になさってください。

吃音と不安の関係


吃音とは、言葉の症状と共に、心理的側面が大きく関わっています。症状と心理状態が合わさって、吃音の悩みは存在しています。
どもるかもしれないという不安は、吃音の一部であり、どもりに対する不安が強まるほどに、吃音が出やすくなります。
吃音研究者ヴァンライパーは、どもりやすくなる時の吃音悪化要因などを含む吃音方程式を表しました。その方程式の中には、吃音への不安、言葉や場面などに対する恐れが吃音を悪化させるとあります。
ヴァンライパーの吃音方程式はこちらの記事を御覧ください。
記事:吃音はなぜ悪化するのか?その理由として考えられること

不安なときどうすればいいか?


心理学辞典によると、不安とは「自己価値を脅かすような破局や危機の漠然とした予感」のことです。吃音がある人は不安な時に、「言えなかったらどうしよう。恥をかいてしまうかもしれない」という気持ちを持ったまま、解決できずにいる状態にあります。
そのため、解決策が多少でも見えていたら、不安は静まっていくとも言えます。以下、吃音の不安を解消するために役立つ行動を記していきます。

親、友達、パートナーに相談する

人に相談し、悩みを打ち明けることで、自分の心は軽くなります。また、状況にもよりますが、自分が気にしすぎている場合などもあります。そのような時には、自分の考え方にこだわらず、他人の考え方を取り入れることにより、気持ちが軽くなることがあります。

吃音の治療を受ける

吃音を改善させるために、専門家の支援を受けて治療を始めることです。楽な話し方を習得したり、吃音を軽減させたり治すことができます。費用などもかかりますので、慎重に考えて選んだほうが良いです。

カミングアウトする

吃音を隠そうとすることを減らし、少しづつできる範囲でカミングアウトをします。吃音の悩みは、どもること自体が悩みの場合が多いですが、他人に知られたくないという思いが強いと、さらに悩みが大きく広がっていくことがあります。できる範囲でカミングアウトすることで、自分の気持ちが軽くなることがあります。

SNSで同じ境遇の人とつながったり、吃音の当事者のグループなどに参加したりする

ツイッターなどのSNSで同じように吃音に悩む人たちとつながったり、吃音を持つ人たちのグループ(セルフヘルプグループといいます)に参加することです。自分と同じような悩みを持つ人たちとの出会いによって、自分は一人ではないんだと思うことができます。

不安が強い場合は、心療内科などを受診する

持続的な強い不安に対しては、薬の服用で気持ちが楽になることがあります。根本治療ではありませんが、あまりに不安が強い場合には有効な手段になりますし、服薬することで吃音症状も軽減することがあります。

対策を講じる

上記にも書きましたが、不安とは「危機の漠然とした状態」です。つまり、「どうしていいかわからない」状態とも言えます。そのため、困難な状況を解決するための選択肢を増やすことは、不安の軽減につながります。
全てを網羅しているわけではありませんが、状況別の対応についての記事をご参照ください。
状況別の対処の記事は、こちらです

吃音があっても頑張っている人、逆境を乗り越えて活躍している人から学ぶ

吃音は人口の約1%いると言われています。症状の違いはありますが、他にも多くの人がいることを知ってください。あなたは一人ではありません。また、世の中には逆境を乗り越え、自分の可能性を広げ活躍している人がいます。彼らから学ぶことはたくさんあります。

逃げないことが大事


どもって恥をかくことは誰もが嫌なことです。できれば、逃げたい気持ちにもなります。吃音の不安から逃げることにより、一時的に安心しますが、実はそれは解決にはつながりません。また、吃音をごまかし続け、不安から逃げることを続けると心が疲れてしまいます。
まずは、誰かに相談したり、協力してもらったりすることで、心を軽くしましょう。そして、吃音はあっても、吃音のことばかり考えるのではなく、その場における目標や目的を考えましょう。
趣味に没頭するのも良いでしょう。自分のやりたいことに集中できた時、不安が少なくなることもあります。

まとめ

不安な時は一人で抱え込むのをやめましょう。できる限り他人の力を借りて不安を解消することです。また、不安な時にできること・できる対策の選択肢を増やすことが大事です。

  • この記事を書いた人

畦地 泰夫

東京吃音改善研究所代表。公認心理師。国際流暢性学会(IFA)会員。日本吃音流暢性障害学会会員。日本コミュニケーション障害学会会員。1人ひとりに合わせた吃音改善を掲げ東京吃音改善研究所を設立。吃音症、社交不安障害のカウンセリング実績は1万回以上。

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