吃音がある人は、言葉が出てこない悩みを抱え、吃音を改善したいと切に願います。吃音は本当に治療・改善できるのでしょうか?
この記事では、吃音の治療・改善について、いくつかの角度から説明していきます。
もくじ
吃音は治療・改善できるのか?
まず、吃音は改善できるのかという疑問いついては、改善している人が現にいる以上、改善できるという事実は存在します。改善した人の中には、治療を受けた人もいますし、自然に改善された人もいます。
吃音が自然に改善していった人は、「小さい頃は、どもっていたけど、治った」という記憶を持っている人もいます。私もこれまで何人か、そういう人に会ったことがあります。
自力で改善を行うなら
自力で改善を行う場合、症状の程度にもよりますが、あまり気にしないようにしたり、ゆっくり話したり、大きな声で話すようにしたりして、話しやすさが出たという人もいます。
本当にその程度の取り組みで改善したのかについては、正確にはわかりませんが、そのような取り組みで改善できる程度の吃音症であったのかもしれません。
少しテクニカルな話し方を使うことにより、改善する場合もあります。もちろん、人それぞれ吃音は違いますので、同じやり方で改善できないことも多くあります。
言語テクニックや練習などについては、他の記事でもご紹介していますので、ご参照ください。
また、実際には改善したのではなく、言葉を言い換えたり、自分なりにうまくやり過ごすことで、日常生活に支障なく過ごしている人もいます。この場合には、改善ではなく日常に適合しているだけというのが正しいでしょう。
治療を受けることで良くなる場合
治療を受けて、どもりを克服するためには、言語トレーニングや心理療法をベースとした様々な手法があります。大きく分けて、直接的に吃音症状を抑えていこうとする「直接的なアプローチ」と、言葉の修正は行わない「間接的なアプローチ」などがあります。
日本だけではなく、海外でも吃音治療は行われており、手法も様々なものがあります。人によって改善への過程も様々ですが、言語トレーニングを用いたアプローチは、テクニックを使って「言えた」という成功体験を通じて、「どもっても平気」と思えるようになります。心理的なアプローチは、吃音を受容しながら、症状を減らしていきます。
改善しなかった場合は?
では、吃音お改善に取り組んだ結果、改善できなかった人は、どうなのでしょうか?良くならない場合の理由は様々ですが、以下の記事でもお伝えしていますので、ご参考になさってください。
記事:吃音が治った人、治らなかった人の違い
誰でも使える完全な治療法・改善方法はない
上記にも述べましたが、一人一人吃音の状態が違うため、全てを網羅する改善方法はないと言えます。どの方法も100%ではありません。一人一人に合わせて、吃音の改善を進めていくのが望ましいです。
本来、吃音は人それぞれ、症状は同じようでも、その特徴や背景は異なります。たとえば症状が難発だからといって、同じ状況でどもるとは限りませんし、発症時期や経験は必ずしも同じではないということです。
様々な要素が複雑に絡み合って、現在の吃音状態は起きています。取り組んだけれども改善できなかった場合にも、様々な要因が考えられます。
吃音に悩み、克服した経験を持つメンフィス大学のウォルト・マニング博士は、以下のように述べています。
「吃音からの回復への道のりは、簡単なことではない。だが、それは壮大な冒険のようなものだと言える」
私も、長く吃音を経験してきましたが、博士の意見にとても共感しています。
吃音は完治するのか?
完全に治るかどうかは、個人差があるということと、吃音のセラピーの内容にもよります。それらの条件が重なれば、成人吃音であっても完治する場合があります。吃音が良くなっていくに従って、自分が吃音があることを忘れていく人もいます。
ある程度改善し、治ったわけではないけど、ほとんどどもらずに日常会話に支障がなくなる人もいます。この場合も、日常生活で不安や恐れがほとんどなくなっていれば、本人にとっての満足度は高くなるでしょう。
全ての人が同じように良くなるかというと、そうではなく、人により異なります。多くの方は、個人に合わせて取り組みを行うことで、満足する程度まで改善できますが、ケースによっては難しい場合もあります。まずは、あなたの吃音の現状を知り、取り組みを行うことが大事です。
まとめ
吃音は治療・改善することができますが、すべての人が、同じやり方で同じように改善できるわけではありません。改善方法は様々あり、改善の程度には個人差があります。自分の状態に合わせて、取り組みを行っていくことが大切です。