吃音は子供や若い世代だけではなく、30代や40代、50代以上でも吃音で困っている人がたくさんいます。子供の頃から吃音症が発症し、持続している人は多いですが、大人になってから発症し、どもる症状に悩まされる人もいます。
成人で吃音に困っている人、成人の吃音は治るのか知りたい人のために、この記事では、成人の吃音について、対処方法などをわかりやすく説明していきます。
もくじ
成人の吃音
成人の吃音は、いくつかのタイプに分かれます。
例えば、幼少期からの吃音が治癒せずに続く場合です。または、幼少期の吃音がいったん治っていき、その後に再び症状が悪化していく場合があります。
これらは発達性吃音といいます。遅くとも10代前半までに発症します。
また他にも、事故や病気による脳の損傷から起きる神経原生吃音、10代後半以降、主にストレス要因により発症する心因性吃音があります。
吃音には「言葉をかむように連発する症状」、難発と呼ばれる「発しようとしても言葉が出てこない症状」、「言葉を引き延ばす症状」の3つのタイプがあり、人によって、どもり方や、どもる頻度などは異なります。
吃音の症状については、後述していきます。
吃音の原因は何か
幼少期からの吃音は体質要因が原因の7割を占めると言われていますが、その他にも発達要因、環境要因が関わっているとされてます。
10代後半以降に発症する心因性吃音は、強いストレス、蓄積されたストレス経験などが原因で、発症に至ります。神経原生吃音は、上記にも記したように脳の損傷などにより起こります。
吃音以外にも言葉が詰まる症状がある
言葉が詰まるからといって、必ずしも吃音ではありません。安易に吃音だと判断するのではなく、やはり医師の診断を受けて判断するべきでしょう。
こちらの記事もご参照ください
記事:言葉がつっかえる、第一声が出てこないのは吃音症かもしれません
吃音の症状
吃音は、以下のような症状が起こります。
・最初の言葉が言えない
例えば、他人と会って、挨拶をしようとする時、「おはようございます」と言いたいのに、言葉が詰まって出てこない症状です。難発といいます。
無理に出そうとすると、「お、・・・、お・・・・・おはようございます」という具合になってしまったり、全く言葉が出てこないことがあります。
・出だしの言葉をたくさん連発して話す
いわゆる、「言葉がかむ」という症状です。例えば「おおお、おはようございます」のように言葉を発することです。連発といいます。
・最初の一文字目を引き伸ばしながら話す
最初の言葉を引き伸ばすとは、「おーーはようございます」という具合に、言葉を発することです。伸発といいます。
・その他の工夫
言葉がスラスラ言えないことにより、他の言葉に言い換えたり、「あのー、えーっと」などの言葉を挟みながら発したり、いろんな工夫を行うようになります。これを吃音の二次的行動といいます。
また、例えば、誰かに質問されて、本当は答えを知っているのに、どもりたくないために、わからないふりをしたりすることがあります。不安や恐れが強くなると、コミュニケーション自体を避けることもあります。
どうすればいいか
これらの症状に悩まされる吃音に対して、どうしていけば良いのでしょうか? 上記のように症状や原因が異なるため、症状に合わせて取り組む必要があります。
・自分で対処する
ゆっくり話すことや、楽に話すテクニックを使うことで、その場がしのげるのであれば、それでも良いかもしれません。
この記事を読まれている方の多くは、その場しのぎができなくて困っていらっしゃると思いますので、そのような安易な対策では解決しづらいかもしれません。
・治療を受ける
上記のすべての吃音には、治療を行うという選択肢があります。また、吃音は、個人に合った治療を行う必要があります。誰にでも適用されるような「吃音を治すには、この方法で!」という万能な方法はありません。
しかし、適切な方法で行うことで、人によっては大きく改善したり治癒することもあります。
・上手にやり過ごす
上手にやり過ごせるようなら、上手に吃音と付き合うという選択肢もあります。周囲の人は、自分が思うほど吃音のことを気にしていないことが多いものです。
日常生活に支障をきたしていて、うまくやり過ごせない場合や、治したいという気持ちが強い場合には改善・治療に取り組むことも良いでしょう。
・ストレス要因を取り除く
ストレスがかかることによって、吃音が悪化している場合には、吃音以外でも何かストレスがないか見直してみましょう。仕事量の多さや、睡眠時間の少なさなど、自分を追い詰めていないか、見直していくことも大事です。
これらのストレスが吃音を増やす一つの要因になっていることもあるからです。不安定な心理状態は、吃音を起きやすくさせます。
・第3者目線で、冷静に自分を見る
状況にもよりますが、自分が気にしすぎている場合などもあります。吃音自体が問題なのではなく、自分が気にしていることが問題となっているということです。日常生活に支障をきたしている場合は、そうではありません。
周りの目が気になるときには、第三者の目線に立って、自分を見ていくことが大事です。自分を客観視するためには、友人に相談したり、カウンセリングなどを受けることが有効な場合もあるでしょう。
吃音で悩む人は、自分の経験というフィルターがかかっているため、吃音を悪くとらえがちな面もあります。
・周囲の理解を得る
仕事の環境など、困っている場面について、職場の上司などに相談することも良い方法です。ただし、吃音への理解が必ずしもあるとは限りませんので、必要に応じて医師の診断書を持っていくことも良いです。
以上、対策として大まかに掲げましたが、あくまで自分の症状や自分の希望に合わせて、考えていくことが大事です。
まとめ
成人の吃音は、幼少期からの発達性吃音と、10代後半以降の心因性吃音、脳の損傷による神経原生吃音があります。また、言葉が詰まるといっても、必ずしも吃音ではありません。不安なときには、医師の診断を受けていくことが大事です。
日常生活で支障が出ている場合には、吃音の症状、自分の希望に応じて対策を講じていくことが必要です。