吃音(きつおん)を知らない人へ。
この記事をお読みくださりありがとうございます。
私は、東京吃音改善研究所の畦地(あぜち)と申します。
突然ですが、あなたは「吃音(きつおん)」という言葉を知っていましたか?
もしかしたら、「どもり」という言葉には聞き覚えがあるかもしれません。
人口の1%と言われるこの症状を持つ方々は、周りが思っている以上に生活上で困難を抱えています。
外から見るとわかりませんが、本人の中で起こっていることは深刻なのです。
ちなみに、第83回アカデミー賞作品賞の他、多くの映画賞を受賞した映画
「英国王のスピーチ」に、吃音を持つ人が感じる空気感が描かれています。
吃音で悩むイギリス王ジョージ6世をテーマに描かれた作品です。
素晴らしい作品なのでまだご覧になっていない方はぜひ観てみてください。
本題に戻ります。
吃音・どもりとは、言葉がつっかえたりして言葉を発することが困難な状態、どもることをいいます。
今まで、吃音をもつ人に会ったことがあるという方もいるかもしれませんが、
実は吃音についてよく知らないという方も多いのではないでしょうか?
よくわからない人にとっては、ちょっとかんでしまっただけとか、焦ってるだけと捉えがちですが、それは違います。
一体どういうものなのか、ここで吃音について簡単に説明します。
「思うように言葉が出てこなくて話せない」
「特定の言葉が発せられない」
「言葉が連発して発せられる」
これらの症状は、吃音の主な症状ですが、
ただ慌ててそうなっているわけではありません。
なぜなら、自分の意志で落ち着いて丁寧に話そうとしても、言葉がまったく出てこなかったり、絞り出すように出しても自分の話そうとする言葉が出てこないことがあるからです。
吃音症状の一つである「言葉が出てこない」という感覚に特徴があります。
その症状は、まるで何かに喉を固められたかのように、言葉が発することができないのです。
実際には運動機能の障害ではありませんが、原因はまだわかっていません。
吃音は特定の苦手な言葉などで起こることが多いため、スムーズに話せている行為と話せない行為が交互に繰り返し起こることもあります。
ここがポイントです。
上手く言えることもあるのですが、それを自分の意志でコントロールできないのです。
例えば、よくあるのが自己紹介などで、「はじめまして」は言えるけど、「自分の名字」は言えないという例です。
「はじめまして。あ、あ、あ、 ・・・あ、あぜちです。」となるわけです。
体感されていない方に感覚をお伝えするとすれば、
苦手な言葉を話そうとした瞬間に何者かに声帯(声の出るところ)を固められた感覚とでもいいましょうか。
話したいという自分の意志に反して身体が言うことを聞いてくれない状態なのです。
当事者(吃音を持つ人)としては言葉がつっかえることに対する恥ずかしさや笑われたくないあまりに、その症状を見られたくないと思っている人が多く、吃音を隠そうとしたり苦手な言葉を言いやすい別の言葉で言い換えたりと、日々様々な工夫をしてこの状態と戦っています。
自分の意志で起こっているわけではないのに、周囲の人々に理解されない吃音によって、傷ついたり悩んでいる人は少なくありません。
ですので、まず今回ご理解いただきたいことは、
「吃音は、その人の意思で起こしているわけではない」
ということです。
落ち着いたりすることでも吃音を防ぎきれないため、当の本人も脱出方法がわからず、懸命に戦っているのだということです。
10月22日は国際吃音啓発の日です。
どうか、この機会に吃音(きつおん)を少しでもあなたに知っていただければ幸いです。
ここまでお読みくださったあなたに心より深く感謝申し上げます。
ありがとうございました。