先日の学会講演では、マインドフルネスについて、同志社大学心理学部の武藤教授がお話をしてくださいました。
マインドフルネスとは何なのでしょうか?
マインドフルネスの第一人者である、マサチューセッツ大学医学部名誉教授ジョン・カバットジン博士は、マインドフルネスの定義について「ある特別な方法で注意を払うこと:意図的に、今この瞬間に、判断することなしに」と述べています。
このマインドフルネスが吃音にどう役立つのでしょうか。いくつかの見地から述べることができますが、その一端を簡単に説明します。
まず、吃音に悩まされていると、予期不安が起き落ち着かなかったり、周囲の目が気になり心が不安定になったりすることがあります。
そういう状況で精神を安定させていくためには、簡単に言えば、あまり余計なことを考えなくなることが大事です。
会話に関連した自身の行動について「悪い結果になってしまうかもしれない」という未来の憶測や、「以前にもこういうことがあった」という過去のことをあまり考えないほうがよいわけです。
つまり、今を過ごす上で余計なこと(未来のこと、過去のこと)をあまり考えず、「今、ここ」に注意を置き、注意をコントロールするためのトレーニングがマインドフルネストレーニングの目的の一つです。
私自身もマインドフルネスを実践してからはかれこれ10年数年になりますし、その効果を感じている一人です。
吃音の改善と合わせて、あまり余計なことを考えなくなり生活の質の向上が感じられるようになりました。
私が過去にアメリカで吃音のことを学んだ時にも、マインドフルネスの有効性は聞いていました。
セッションでも受講者の方々にマインドフルネスを紹介しています。
書籍も幾つか出ていますが、個人的には、入門編としては下記の本が一番良いのではないかと思い、ご紹介させていただきます。
吃音の有無に関係なく、マインドフルネスは生活の質を向上させることでしょう。