コラム

10月22日は国際吃音啓発の日です。

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10月22日は国際吃音啓発の日です。

1998年に吃音の認知度と理解の促進を願って制定されました。




私もこうやって記事を書いたりしているように、毎年この日には吃音の啓発がなされていますが、まだまだ社会全体における吃音の正しい認知は少ないように感じています。


今年の春にはフジテレビの月9ドラマ「ラブソング」で吃音がクローズアップされていましたが、やはり一過性のブームで終わってしまっているのは否めないと思います。

啓発を少しづつ積み重ねていくために今回も吃音理解のために吃音当事者の目線から少し書かせていただきます。



とても敏感になっているということ

吃音を持つ人たちは周囲の反応にとても感覚が敏感になっていることをお伝えしたいと思います。


ところで、この記事を読まれているあなたは吃音を経験されたことはあるでしょうか?
もし経験がなければ少し以下のことを想像してみてください。



例えば、初めて会う人に挨拶をする場面において。


まずあなたに対して相手が「はじめまして⚪︎⚪︎と申します」と挨拶したとします。

そして、あなたも「はじめまして」と言わなければいけない状況に直面しているわけです。


ただ、この瞬間に吃音が起こると、自分の名前や挨拶が言えなくなることがあるのです。

まるで金縛りにかかったかのように・・・。


「・・・・・・」


自然に流れているコミュニケーションの流れの中で、頭では言葉が浮かんでいるのに、喉が閉まっていて言葉が出てこないのです。


おそらく会話の相手は、あなたを覗き込むようにして「どうしたんですか?」と言わんばかりにあなたの方を見るでしょう。

依然としてあなたは喉が閉まってしまい名前だけが言えないのです。


当然その場では時間が流れていきます。


しかし言葉が出てこないのです。


「・・・・・・」



あなたならどうしますか?


相手はあなたの顔を覗き込み「どうしたんだろう?」と見ています。





緊張と焦りを抱えたままなすすべがなく、ただただ言葉が出てこないのです。


そして、言葉が出てこないので焦る時間を感じながら何とか無理やりに押し出して言葉を出そうとして





「は、は、は、はじめまして」と言ってしまったりするのです。






落ち着けないのではなく出てこないから仕方なく思いっきり押し出してしまい、そうなっているだけなのです。

当然わざとどもる人などいません。恥ずかしさと緊張感に胸は締め付けられ、みじめな気持ちになることもあります。


にもかかわらず時には笑われてしまったりします。



そんな経験をしたくないから言葉をごまかさざるをえなかったり、言えない言葉を言い換えたりといった経験を重ねながら吃音を抱えて生きているのです。


もしこのような現象が何度も続いたら、ほとんどの人は自己紹介するのが怖くなるでしょう。


自己紹介だけではありません。電話や気さくな日常会話、お店での注文などで同じように言葉が詰まるという現象が起きます。

日々このような「突然言葉が言えなくなる現象」が起こっていたら、やはり言葉を話すことや相手から見られることに対してとても敏感になっていくでしょう。



誰も恥をかきたくてかくひとなどいないように、自分のアイデンティティが傷つけられるのを守りたいのです。


ゆっくり話そうが落ち着こうがどもるときもあります。吃音とはそういうものなのです。


見た目以上のことが常に当事者の中では起こっています。

あなたが思う以上に吃音を持つ人は日々言葉がつまる症状と戦っていることを知っていただければ幸いです。

吃音を持つ人たちの日々の負担が少しでも減ることを願って。

  • この記事を書いた人

畦地 泰夫

東京吃音改善研究所代表。公認心理師。国際流暢性学会(IFA)会員。日本吃音流暢性障害学会会員。日本コミュニケーション障害学会会員。1人ひとりに合わせた吃音改善を掲げ東京吃音改善研究所を設立。吃音症、社交不安障害のカウンセリング実績は1万回以上。

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